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家の窓には時折、ヤモリが訪れます。
常夜灯に集まる虫を狙ってくるものらしいです。
最初は気持ち悪かったのですが、何度も遭遇するうち、親しみが湧いてきました^^。
(冬場、大丈夫なんでしょうかねえ・・・)
さて、今日、ご紹介するのは『家守綺譚』。“やもりきたん”と思っていました。
ホントは“いえもりきたん”と読ませるのでした。
怖い話ではありませんで、素敵な余韻が残る本です^^。
家守綺譚
著:梨木 香歩
出版社:新潮社
登場人物は同じくして、短編。
タイトルにつけられた草木、花を思いながら、少しずつ、読みたい本。
ひとつ読めばかなりお腹がいっぱいになるはずだから。
梨木さんの作品は、既刊は多分全て読んだと思うのだけれど、
私の中ではこの作品が一等、素晴らしい、と思っている。
以下、ネタばれ ご注意。
駆け出しの物書きである綿貫征四郎は、家を守る役目を任されている。古い家屋と庭木の数々、邸内には山裾の湖から疎水が引き込まれ、時として縁側で鮎の群れが見られる、そんな風雅な家。
実はこの家、湖にボートを漕ぎ出したまま行方知れずになった学友、高堂の実家であり、依頼主は高堂の老いた父親である。
雨がひどく降る晩、邸を任された綿貫のもとに高堂が訪れる。床の間の掛け軸のサギが魚を狙う湖の端から、昔のままの姿でボートをつける。
綿貫「どうした 高堂。 逝ってしまったのではなかったのか」
高堂「なに、雨に紛れて漕いできたのだ」
尋常でない…のだけれども、旧知の間柄であったら、私もそうした反応かもしれない。
(ちなみに、この本の中では、高堂に対して、“幽霊”といった表現は一切使われていない)
だけれども、この家で日々、起こることはかなりオカシイ。
例えば作中、「池の端になにやら、置いてある風情…近づくと布のようでもなし、皮のようでもなし・・・てろてろ光っている」について。
綿貫が気味悪く、不審がるのを「河童の抜け殻にきまっています」と言いきる、隣家のおかみさん(万事がこの調子)、やたら聡い…ヒト臭い犬、ゴローの助けで、世界は均衡を保っている。
本のページを繰るなか、ふと、倉橋由美子さんの著作、中でも『幻想絵画館』を思い出した。
『家守綺譚』では、高堂が(大概の場合は)掛け軸の絵の湖を経てこちらへ渡ってくる。
『幻想絵画館』では、こちらが絵の中へ、あちらの側に入り込むという趣向だが、似た味わい、感触がある。
この世でなく、しかしあの世でもなし。
どちらも“あわい”、もしくは“狭間”の世界の話、なんだと思う。
幻想絵画館
著:倉橋 由美子
出版社:文藝春秋
かつてデザイン学校生だった頃、出会った倉橋さんの最初の作品です。
20の絵画に20のお話・・・その世界にみせらトリップさせられます。
ナビゲーターは倉橋さんの他の作品にも登場する、老成している・・・というか、知的に過ぎる少年、彗君。