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孤宿の人 上
著者:宮部 みゆき
出版社:新人物往来社
まるで、笑いどころがない!
ちょっとした和みの場面も、次に起こる不幸を、より不幸に見せるための演出なんだもん。
でも、ぐいぐいと次のページをめくってしまうのは、やっぱ続きが気になってしまうから^^;。
少女の名は“ほう”。阿呆だから“ほう”。
江戸にお店を構える萬屋の若旦那と、お店の女中であった母との間に生まれた娘である。
お妾さんの子が正妻に苛められる、持て余されて、里子や奉公に出された先でまた、イビられ・・・とか、ありがちなのだけれど、そうした場合の主人公は大概は耐えているものだ。
けれど“ほう”は「私は“阿呆”だから仕方がない」と当たり前のように思っている。
疎まれながら、濁流のような日々にただ身を任せる日々。
たまに漂ってくる木切れは、“ほう”が摑まるや木っ端微塵に砕けてしまう。
ふと、ゴダイゴの『ビューティフル・ネーム』を思い出す。名前って大事なものだね。あと、自己暗示も。
ウチのおとーさんは、子どもの頃、母親に(私にとっては義母よ)何かにつけ、
「アンタは“やれば出来る子”なんだから」と言われていたそうである。
母親ならではの騙しのテクがぷんぷん匂ってくるような話であるけれど、子どもとはそうした目に見えない添え木を当ててもらって、真っ直ぐに育つものなのかもしれない。
やがて、“ほう”は江戸から遠く離れた丸海の地で、ある医宅に身を寄せることとなる。
名家でありながら、気さくな大先生と、優しい若先生、そしてその妹・琴江らによって、初めて“ほう”は、色んな“人並み”を手に入れる。慈しまれる。
が、“ほう”の幸せな日々は長く続かない(ここまではほんの序章)。
ある殺人の下手人を目撃してしまったことから、“ほう”にとって、最大の、悪夢のような不幸が始まる。
ネタばれするので詳細は書きませぬが、上巻の大半をしめる部分、“ほう”ではなく、“ほう”を見守るある女性の主観で物語が進むのだけど、下巻への布石なのでしょうが、モタモタした感じかも。
この半端に威勢がいいこの女性も、なんとはなしに“薄幸の人”を感じさせて気がかり。
時を同じくして、妻子殺し、部下殺しの罪を大罪を犯した、“加賀殿”が丸海へ流されてくることになっていた。
「加賀さまは人ではなし。鬼・悪霊である」
という噂の中、不審な事故、原因のわからぬ病など、それを裏付けるかのような、事件が頻発する。
ちなみに鬼の“加賀さま”には上巻ではお目通り、かないませぬ。
虚像ばかりで、姿が出てこない分、ホントは殺ってないんじゃないのかなあ?! とか、いい人だったりして・・・と、想像は膨らむのでありました。
権力への執着、渦巻く陰謀と策略に満ち溢れた(多分ね)、下巻に期待っ。