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“勧善懲悪が好きな日本人”にはかなりキツイ話である。
上下巻を通しての感想をひとことで言うならば、
「長いものに巻かれちゃった」。(※長いものには巻かれろ)
この慣用句、巻かれる“長いもの”を蛇だとする説があるそうな。
上の巻に、丸海の海に泡立つ白い波を、“跳ねるうさぎ”、
恋敵・琴江を誅さんと、美祢が雷雨の中を走る姿は蛇のようだ、とする描写があり、
・・・ナルホド、巻かれちゃったのね、とひとり納得。
(↓ネタばれあり)
実際、リアル生活の中では、誰もが長いものに巻かれ(時には進んで)、ホッとしたり、あるいは心の中で毒づいているものだと思う。そしてそれが普通だと思うのだけど、何でヨソ事、お話だとこんなにムカつくんだろうか。
登場人物のそれぞれが抱える事情を全て、空から見通せる立場=読者である自分としては、何が“正しいこと”なのか良くわからなくなってくる。
ただひとつだけ、このお話の中での唯一の正しさは加賀さまが“ほう”に生きる術というのだろうか、道を与えたこと。下巻では、加賀さま直々に“ほう”に読み書きの手ほどきをする場面が織り込まれる。読み手としても濁った頭をクリアにできる場面だ。
その加賀さまとの手習いの中で、『阿呆』であった“ほう”は、名前に方角の『方』の字を、そしていつか・・・この世の大切なもの、尊いものを表す『宝』の名を授かる。
・・・名付けってのは、親にとっては一大事だ。自分達が死んでからも、子どもは一生その名前を持ち歩くわけで、どんな名前にも並々ならぬ思いがこもっている。呆から方、そして宝へ。“ほう”は加賀さまに2回、生まれ変わらせてもらったのだと思う。
ああー、ツライ話でありました。