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天気予報で日本列島各所に雪だるまマークを見掛けて12月を、冬の到来を、しかしどこか他人事のように思う今日この頃(東京はお天気続きです)。
誰かが言ってた、自分の生まれた季節が“得意”(本人にとって過ごしやすい・好ましい)という説がホントならば、私は四季の中で秋が“得意”なハズなのだけど…秋から冬へと季節が移行するタイミングは曖昧過ぎて、気が付いたら年賀状を準備しなきゃ!!っていう時期になってる。いつが秋の真ん中だったのだろう…と毎年、毎年こんなことをくどくど考えております^^;。
そんなニッポンの情緒を解せない私には相応しく、今日はまるで季節外れなお話を。
『蛇行する川のほとり』(著:恩田 陸 挿画:酒井駒子)。“ひと夏”のある意味、残酷ともとれるお話です。
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↓かなり派手にネタばれてます。要注意!!
圧倒的な存在感を持つ美少女・香澄、ビスクドールのような容姿と柔らかい雰囲気を併せ持つ・芳野。そのふたりに憧れる毬子。ふたりと毬子は美術部の先輩・後輩の間柄。
夏休み、演劇祭の舞台背景を描くという名目で、香澄の家で行われる合宿には、芳野、毬子、香澄のいとこである月彦、その友人である暁臣の5人が集います。
さて、この5人、幼き日に起こったふたつの忌まわしき事件について、それぞれが当事者であり、目撃者でもあり、胸の奥深くに“秘密”を抱えている。ある者は記憶に蓋をし、ある者は罪悪感を引き摺り、ある者は誰かのせいにして過ごしてきたわけです。
合宿の中で少しずつ、事件の“真相”が明らかになっていくのだけど、私としちゃあ、何でわざわざもう時効だろ~よみたいな古い事件を掘り起こして、自ら傷つこうとするのか納得がいかなくて、読めなくて少々、苛々。
後半、事件に幕を降ろすためには催眠療法的手法、荒療治が必要なのかね、と思いましたが(催眠状態の中で忘れたい体験を繰り返させて、目が覚めたときには全てを忘れている…みたいな)どうなんでしょう。
鮮やかな幕引き、と思われた後に、どんでん返し的なネタばらしがあるのですが(と、言っても、恐らく読んでいる内に何とな~く気が付くと思いますが)、さすがにこれは書かずにおきます^^;。
芳野の“謎解き”(…と言ってよいのか?)場面で、彼女は月彦と共に音楽堂の舞台にあがるのですが、ふと、この物語そのものが“演劇”っぽい感じがします。普通に物語なんだけど、事件以後の彼女、彼らの、それぞれ腹に一物的な10年の歳月がそう感じさせるのかなあ。
高校時代、友人に誘われて2ヶ月だけ在籍していた演劇部。当初、練習していたのはギリシャ悲劇『エレクトラ』。子殺し、不義密通、陰謀、母殺し…という物騒な出し物でありましたが。似た匂いがする^^;。
天才肌の美少女、芳野の身内に神がかりなお方がおるらしのですが、
序盤、「……蝶って、死者の国の使いなんだって」
芳野ラスト間際、「……自転車に乗っていく二人の背中にね、羽が見えたの」
と、物語の展開を暗示する発言・独白がなされているところをみると、彼女もそうした人なのかしら^^;。